子供のスポーツによる使い過ぎの痛みについて。

子供のスポーツスポーツにより使いすぎたために起こる怪我で小学生低学年のお子さんを連れていらっしゃる患者さんが時々いらっしゃいます。

子供に限ったことではありませんが、使いすぎが原因で怪我になった場合には、痛みが出る運動はしばらく避けて、痛みが出ない運動をするようにおすすめすることがよくあります。

理由としては、痛みが出る運動を避けるのは怪我をした部分に負担をかけないためですが、痛みが出ない運動をさせるというのは、そのほうが怪我の治りも早く、普段あまりしない運動をすることは、後々競技にも役に立つことが多いという事もあるからなのです。

一つの運動で無理をしないで多くの運動を経験させる重要性

でも、痛がる子供に「大事な試合の前だから」「レギュラーになれたばかりなので」などという理由で無理をしてまで練習に参加させたがる方が多いように感じることがあります。

もちろん本人もやりたいと言う気持ちがある場合が多いのでしょうが、それを保護者の方が後押ししてしまっているのかな?と感じてしまう事も少なくありません。
学校の先生に嫌味を言われて無理をしてしまった結果手術しなければならなくなったケースもありました。

少年野球からずっと優秀なピッチャーだった子が、高校生くらいまでに肘や肩を痛めて競技をやめたり、ピチャーをやめざるをえなくなったという話は過去に何度も聞きました。
人気があるからなのかもしれませんが、無理をして傷めるケースは野球とサッカーで比較的良く聞きます。

最近、スポーツドクターの先生の講習に参加した際に「保護者の方が熱心で一時期のお受験がスポーツに置き換わっているようだ」というような事をおっしゃっているのを聞いて、思わず頷いてしまいました。

特に小中学生では個人の成長速度がかなり違いますので、成長の早い子は、周りに比べて運動能力が高いため、無理をして練習や試合に出る(出さされる)傾向があり、スポーツ障害になりやすく、燃え尽き症候群になる場合もおおいそうで、
逆に成長の遅い子は、意欲消失をしやすくなりますが、隠れて無理な練習をしてスポーツ障害を起こす子もいるそうです。

ところで、スポーツ障害は無理な運動を長時間続けるほど起きやすいため、小学生<中学生<高校生の順で多くなりますが、小さい子ほど骨の障害の割合が多くなります。

特に小学生の低学年くらいまではなるべく多くの運動をして色々な動作を習得するのに適した期間と考えて、色々な運動を経験して、土台づくりができる環境を作ってあげることが大切な時期だと言われていますので、

この時期は遊びを通じて敏捷性や柔軟性、バランス感覚を養ったり動作の習得をするようなことを重視し、激しい運動や筋力や持久力のトレーニングをさせることは避けるべきですし、そういったトレーニングをすること自体意味のない時期です。

スポーツをしていれば体力もつき、健康的だと思っている方は多いと思いますが、これはかなり偏った情報で、小学生の時期の体力というのは、運動時間の長い子と短い子供での体力の伸び率の差というのはなく、自然の発育によるものとする研究結果が多くあります。

10歳くらいまでは神経系の発達が著しい時期ですので、色々な運動をして敏捷性や柔軟性、バランス感覚を養ったり動作の習得をする事は後々役に立つと思います。
激しいスポーツは体に悪い面が多くあるという事、特に一つの運動ばかりを繰り返すことによってスポーツ障害を起しやすくなる事は理解しておいてあげてほしいと思います。